邦楽用語のミニ辞典
■ 箏 (そう、こと)

中国で生まれた箏は、奈良時代に日本に伝来し、貴族たちが雅楽の合奏や歌の伴奏として弾いていた。室町時代末に九州・久留米の僧侶、賢順が現在の箏音楽の基礎を作ったことで民間に広がり、江戸時代に八橋検校が親しみやすい調弦法を工夫して箏曲の基礎を築くと、生田流、山田流などの流派も生まれた。
桐などで作られた胴に13本の弦を張り、可動の柱(じ)で調律し、生田流は四角形、山田流は丸型の象牙の爪で弾く。
「箏」と「琴」の文字が混在しているのは、常用漢字ではなかった「箏(そう、こと)」の替わりに「琴」が用いられた時期があったため。本来、「琴(こと、きん)」は異なる構造を持ち、弦を押さえる位置によって違う音程を作り出す楽器。